施設からの実践報告

『心のケア』支援フタッフ講座  施設での実践報告はこちらです。

☆ 参加者からの声 ☆

この講座は知的障がい者関係施設職員向けの研修です。3日間×3回の計9日間の研修をしていますが、3回の研修と研修の間に、実際に施設に帰ってから障がいのある利用者さんとやりとりをしてもらうという宿題を出しています。その報告の中から少しご紹介したいと思います。

* 毎朝、更衣室で人が着替えている時に部屋の電気を消して皆から非難されてしまう方がいます。とめると躍起になり力ずくでも消します。その方に「あなたが毎朝注意されるのは見たくないので、絶対に止めます」と話し、抱きつくようにホールドして止めて張り合ってみました。結局強引に電気を消してしまうこともありますが、「明日も止めてね」「毎朝止めてね」と言われるようになりました。何かの用事で朝関われないと「どうして止めてくれなかったの!」と、後で怒られます。電気を消す行為自体はなくなりませんが、何かが変わったと感じました。
A.Nさん(東京都)

Aさん(ダウン症の男性)
食べたいのに、不機嫌そうな顔をして、ソファーから食卓に来ることの出来ないAさんは、自分に関心を引こうと、耳や頭を打ったり、女性利用者を他害することがよくありました。食べたいと思っていることは確かなのに、素直に来ることが出来ないのです。そこで、職員2人で関わって、両脇を抱えて椅子に促してみました。その後、とても喜んで笑顔で席に着いています。かかわりを期待して、食事の準備が終わるとニコニコして職員2人が来るのを待っています。自傷や他害なく、皆と一緒に「いただきます」が出来ているので私はうれしいです。この方は、前回の研修で、女性職員に対しても他害がひどく、私も毎日のように傷つけられていて、皆さんに相談した方です。あれ以来、私に対しては、小さな手出しはありますが、大きいものはまだ一度もありません。同じ方ですが、大声で泣きながら床に頭を打っているときにおしりをポンとたたいて「しっかりして下さい。」とか、軽いぐずりや耳打ちのときには、「大丈夫ですか」と、声を早目にかけることで次の他害や物壊しに移らないで済んだり、気持ちが切り替わって今やらなければならない事に迎えることが沢山ありました。

Bさん(女性)
テレビの前に座って動かず、食事の時は食べないとすねた声を出したり、仕事や買い物には行かない。と拒否したりすることのよくあるBさんには、声掛けをして、少し間をおいてから手を取って促すとスムーズに動けることがたくさんありました。また、ひどい時には後ろに座って後ろから抱きかかえ、○○さん(家族)に会いたくなったんだね、などと
声を掛けて思いを受け止めたり、反対に、「チョコレートは(○○さんは持って来ないよ)自分で買いに行くんだよ。」などと励ますことで、切り替われることが沢山ありました。何よりも、そういうやり取りはOKなのだという自信を持って関われるようになりました。 S.Aさん(岩手県)

<スタッフより参加者の皆様へ>
このページで見ることができる”実践報告”は、連続講座の間に参加者に宿題と称して提出して貰っているものです。
学校時代に培われた感覚でいうと宿題とかレポートとかいう提出物は、それによって自分が何かしらの評価を受けるものと捉えてしまいがちですが、私たちはそんなつもりで出して貰っているわけではありません。もし評価というなら、むしろ私たちスタッフが、参加者に大事なことをきちんと伝えられているか、が見極められるのかもしれません。それによって、次回の講座でどういう点を伝えたらよいかが、私たちの参考になりますから。
スタッフにとって何よりの収穫は、こうした報告を見て、こちらが感動や勇気をもらえることです。 参加者のひとりひとりが、なんとか自分たちの現場で心のケアを活かそうと、工夫や苦労を重ねていることが伝わってきて、それが次回に向けてのスタッフのモチベーションになっています。
みなさん、どうもありがとう。  ☆☆☆ 石田 遊子 ☆☆☆

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